2006年 09月 24日
速報・木造体力壁ジャパンカップ〔第2日〕 |
今日は、ちょっと思わぬ展開があり、明日いったいどうなるのか、というどきどきはらはらの展開となっています。
木造耐力壁ジャパンカップでは、ここ数年、ハウスメーカーであるポラスの研究所チームが、ずっと決勝トーナメントの頂点に君臨し続けています。
ポラスは殆ど業務と同じような真摯さで挑戦し、ずっとほかの壁を寄せつけませんでしたが、そのポラスにも、ひとつだけウィークポイントがありました。
決勝トーナメントは、壁同士の引っ張り合いになるので、最大耐力でほぼ勝負が決まります。
そして、ポラスはそこに絞ってつくってくるので、耐力が非常に高い壁がいつもやってきます。
一方、予選の通過ラインを決める総合採点における耐震性能は、最大耐力ではなく、壁が吸収できるエネルギー量で評価します。
ここでエネルギー量とは、荷重変形曲線の積ですので、最大耐力と同時に、耐力を保ったまま変形に追従していく、いわゆる粘り強さも、総合評価を高めるためには必要になってきます。
ところが、最大耐力を増やすためには、剛性を高める必要があるのですが、剛性を高めると粘り強さがなくなりやすい、というジレンマがあり、つまり決勝での強さを追い求めた壁は、必ずしも予選を通るとは限らない、ということになっているのです。
勿論ポラスもその辺りはよくわかっていて、初期剛性の高い面材系の壁と、後から効果を発揮するように、あえて隙間を空けて設置した筋かいの、一粒で二度おいしい壁を作ってきました。
ところがこの2段構えの受け渡しがうまく行かず、途中でかなり耐力が落ちてしまったため、粘りはしたものの全体のエネルギー量はあまり大きくならず、2日目を終わった段階で、5位。
決勝進出の条件、8位以内に微妙なポジションです。
いままでは、ウィークポイントがあるといいながらも、予選、決勝と圧倒的な強さで制してきたチームですので、予選敗退ということになると大変なのですが、さて。
もうひとつの意外な展開(といっては当のチームに失礼ではあるのですが)は、日本建築専門学校の学生チームの善戦です。
先述のように、真剣に取り組む企業チームが増えてくるなど、この9年でジャパンカップのレベルはとても高まり、例えるならラグビーの日本選手権のように、学生チームは上位に行くのが難しい、予選突破すら難しい状況が続いていました。
ところが今年、今日最後の登場した二年生チームは、今までの経験を踏まえた地味だけれども工夫を凝らした壁を持ち込み、現時点で暫定1位に立っています。
さらに特筆すべきポイントとしては、その二年生チームと四国職業能力開発大学校チーム、東北職業能力開発大学校チームと、今日の10のうち3つが、接合金物や釘などの金属をまったく用いない耐力壁を持ち込み、二年生チームと四国能開大チームが現在1,2位を占めていることです。
耐力を高めるためには、つい金物の類いを使いたくなりますが、よく考えて使わないとかえって粘りのない、壁になってしまいます。
昔ながらの技法による、木の耐力壁が、十分に耐震性能をもつことを、若い学生チームが示してくれたことは、とても興味深いと思います。
泣いても笑っても明日が最終日。実は明日もまた見所がいっぱいです。
木造耐力壁ジャパンカップでは、ここ数年、ハウスメーカーであるポラスの研究所チームが、ずっと決勝トーナメントの頂点に君臨し続けています。
ポラスは殆ど業務と同じような真摯さで挑戦し、ずっとほかの壁を寄せつけませんでしたが、そのポラスにも、ひとつだけウィークポイントがありました。
決勝トーナメントは、壁同士の引っ張り合いになるので、最大耐力でほぼ勝負が決まります。
そして、ポラスはそこに絞ってつくってくるので、耐力が非常に高い壁がいつもやってきます。
一方、予選の通過ラインを決める総合採点における耐震性能は、最大耐力ではなく、壁が吸収できるエネルギー量で評価します。
ここでエネルギー量とは、荷重変形曲線の積ですので、最大耐力と同時に、耐力を保ったまま変形に追従していく、いわゆる粘り強さも、総合評価を高めるためには必要になってきます。
ところが、最大耐力を増やすためには、剛性を高める必要があるのですが、剛性を高めると粘り強さがなくなりやすい、というジレンマがあり、つまり決勝での強さを追い求めた壁は、必ずしも予選を通るとは限らない、ということになっているのです。
勿論ポラスもその辺りはよくわかっていて、初期剛性の高い面材系の壁と、後から効果を発揮するように、あえて隙間を空けて設置した筋かいの、一粒で二度おいしい壁を作ってきました。
ところがこの2段構えの受け渡しがうまく行かず、途中でかなり耐力が落ちてしまったため、粘りはしたものの全体のエネルギー量はあまり大きくならず、2日目を終わった段階で、5位。
決勝進出の条件、8位以内に微妙なポジションです。
いままでは、ウィークポイントがあるといいながらも、予選、決勝と圧倒的な強さで制してきたチームですので、予選敗退ということになると大変なのですが、さて。
もうひとつの意外な展開(といっては当のチームに失礼ではあるのですが)は、日本建築専門学校の学生チームの善戦です。
先述のように、真剣に取り組む企業チームが増えてくるなど、この9年でジャパンカップのレベルはとても高まり、例えるならラグビーの日本選手権のように、学生チームは上位に行くのが難しい、予選突破すら難しい状況が続いていました。
ところが今年、今日最後の登場した二年生チームは、今までの経験を踏まえた地味だけれども工夫を凝らした壁を持ち込み、現時点で暫定1位に立っています。
さらに特筆すべきポイントとしては、その二年生チームと四国職業能力開発大学校チーム、東北職業能力開発大学校チームと、今日の10のうち3つが、接合金物や釘などの金属をまったく用いない耐力壁を持ち込み、二年生チームと四国能開大チームが現在1,2位を占めていることです。
耐力を高めるためには、つい金物の類いを使いたくなりますが、よく考えて使わないとかえって粘りのない、壁になってしまいます。
昔ながらの技法による、木の耐力壁が、十分に耐震性能をもつことを、若い学生チームが示してくれたことは、とても興味深いと思います。
泣いても笑っても明日が最終日。実は明日もまた見所がいっぱいです。
by ryo-oguchi
| 2006-09-24 00:04
| 建築のはなし